◆もしも楓に、華のような友達がいたら?

 なんにせよ、誠が浮気した原因は楓が仕事にかまけており、誠をぞんざいに扱ってきたことが大きい。誠にも当然落ち度はあるが、勝手にスマホを見て、自分自身の反省点を探そうとはせず、怒りの矛先を自分自身ではなく、みちだけに向けるのは身勝手ではないか。みちが陽一の気持ちに寄り添おうとする姿を見せていただけに、余計に自己中心的な性格が浮き彫りになり、楓に対するモヤモヤが募っていく。

 それと同時に、「楓にも華のような友達がいれば、ある程度は冷静になれたのかもしれない」とも夢想したくなる。とはいえ、華のようなセリフを友達に言われても、恐らく聞き入れないタイプの人間であり、だからこそ楓は楓なのだろうと妙に納得する自分もいた。