◆安倍元首相と同じく仲良しだが、思想はない岸田母子

 今回より前に翔太郎氏に不祥事が発覚したときに、母の裕子氏は更迭(こうてつ)に反対してきたとの報道がありました。(『SmartFLASH』2023年5月29日配信「公邸で忘年会」の岸田翔太郎秘書官、心が折れて自ら「もう辞める!」母も“悪ノリ撮影”かばい切れず)これが本当だとすれば、息子への母、裕子氏の愛の深さを思わずにはいられません。

 そこで思い出すのが、故・安倍晋三元総理です。安倍氏も、母の洋子氏と大変に仲がよく、成人した後も映画をいっしょに鑑賞しては、感想を語り合うほどの関係だったそう。(『安倍三代』著・青木理 より)

 ただし安倍氏には良くも悪くも祖父・岸信介の政治信念を受け継ぐとの自負がありました。岸のDNAを受け継ぎ、日本国を背負って立つのは他ならぬ自分であるとの意識から、母の洋子氏にシンパシーを抱き、洋子氏も安倍氏に愛を注いできたわけですね。

 ところが、翔太郎氏からはそのようなイデオロギーが全く感じられません。つまり、生まれながらにして裕福で社会的地位の高さに恵まれた人が、そのままエスカレーター式で最高権力の中枢(ちゅうすう)に組み込まれてしまった。

 このあまりのスムーズさに、安倍氏の思想的執念とは違った恐ろしさを感じてしまいます。

 そして、翔太郎氏の屈託のない明るいハメの外し方が、スムーズであることの危うさを証明しているように思うのですね。