◆貧相なスケールで政治家に不向きな長男を要職で起用した家族愛

 翔太郎氏の辞職について、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「家柄も学歴も職歴も文句ない。となると、欠けているのは良識と常識かな」と述べました。(5月30日放送TBS系『ひるおび!』での発言)

 指摘の通りです。けれども、よくよく考えると、彼のしたことは公用車でお土産を買いに行き、官邸で盛り上がりすぎてしまった。せいぜいこの程度です。

 だとすれば、良識と常識が決定的に欠けているとも言い難い。むしろ、そこまでの小さな悪にすら達しない貧相(ひんそう)なスケール感の粗相(そそう)なのですね。誤解を承知で言えば、政治家の悪事としては全く物足りない。論外の幼さだと言うべきでしょう。

 そのような全く政治家に不向きな翔太郎氏を要職で起用してしまった、岸田総理、裕子夫人のハートウォーミングすぎる家族愛。それこそが問われるべき任命責任なのだと思います。

<文/石黒隆之>

【石黒隆之】

音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4