いざ資産運用を考え始めるとき、悩みがちなのが貯金と投資の割合です。皆さんの中にも「ある程度貯金がたまってきたから投資を考え始めた」という人も、なんとなく貯金をしながら、「貯金と投資、実際どっちが得なのだろう」と考えている人もいらっしゃいますよね。

ここでは、貯金と投資の割合に迷っている人に向けて、その判断材料となるポイントを解説します。

「資産運用は余剰資金で」というけれど現状把握はどうすればいい?

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資産運用の第一歩は、まず家計の現状を把握することです。

一般的に、投資に費やすお金は、余剰資金でまかなうのがよいとされています。余剰資金とは、「現時点で使う予定のないお金」のことです。投資に使い込みすぎてしまわないよう、口座に残しておくべき貯金額は常に意識し、「最悪、なくなっても大丈夫」と思える範囲で投資を行うことが、上手な資産運用のコツです。

余剰資金がいくらあるかを見定めるには、いま手元にあるお金を以下の3つのジャンルに分けてみるとわかりやすくなります。

  • 生きるために必要なお金(食費や光熱費などの生活費)
  • 将来的に必ず使う予定のあるお金(教育費、住宅購入費、結婚資金など)
  • 現時点では使う予定のないお金

なくては生活していけないお金、いわゆる「すぐに使う予定のあるお金」は、貯金として持っておくのが賢明です。少なくとも3ヵ月ぶんの生活費を手元に残しておくと安心でしょう。このとき、「ギリギリ生活できるお金」ではなく、災害に遭ったときなど緊急時のことも考え、万が一収入が途絶えるようなことがあってもしばらくは生活できる生活資金を置いておくのがベターです。

結婚資金や出産費用、車の購入費など、近い将来必要になるお金に関しても、投資より貯金が向いています。預金は、万が一銀行が破綻しても1,000万円とその利息までは元本保証されます。

手元にあるお金からこれらを差し引き、残ったぶんのお金が「現在使う予定のないお金」です。このぶんを投資にまわすと、生活費を圧迫することなく、後述する貯金のリスクにも備えることができます。

余剰資金を投資に回すとき、割合はどう考えればいい?

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投資と貯金とバランスに迷う人は、以下の点を検討してみましょう。

資金運用の「目的」を考えてみる

貯金と投資の割合に迷ったら、まず「資産運用の目的はなにか」を考えてみることが大切です。例えば、できるだけ増やしたいからリスク覚悟でハイリターンを狙いたい、という人もいれば、老後資金を少し増やせればそれでいい、という人もいるでしょう。このように、資産運用の目的によって、貯金と投資の割合や、選ぶべき投資先が変わってきます。

「年齢」を目安にする

人によって運用の目的やゴールが異なるため、「収入の〇%を投資にあてるべき」といった決まった割合はありません。

一つの判断基準になるのが「年齢」です。例えば、20歳なら投資配分を「投資:貯金=8:2」に。30歳になったら「投資:貯金=7:3」に、という具合で「貯金の割合=年齢」で考える方法があります。

一般的に投資の割合は、年齢が上がるにつれて減らしていくのが賢明と言われています。理由は、万が一投資に失敗して損失を生んだときに老後の生活費をまかないきれない可能性があるためです。

こういった考え方があるとはいえ、若くても扶養する家族がいる場合などは、生活防衛資金を多めに見積もっておいたほうが賢明でしょう。

不安があれば、まず少額から投資してみて、家計への影響を判断してみるのもひとつの方法です。

投資を始めるときに考えるべきリスクと許容範囲

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ここで、投資と貯金、それぞれのリスクと許容範囲について理解しておきましょう。

投資のリスクは「元本割れ」

投資には常に「元本が割れる」リスクがつきまといます。「元本が割れる」とは、投資したお金が返ってこないことです。

また、ひとつの投資先に大きく投資を行うと、そのぶん、その会社が失敗したときに大金を失うリスクがあります。大きく利益を出したいからといって、いきなりハイリスクハイリターンの金融商品に、1社集中で手を出すのもおすすめしません。

こういったリスクを分散させるために、値動きの異なる複数のファンドに分散して投資する、いわゆる「分散投資」が投資におけるリスク回避の常識とされています。

貯金の「インフレリスク」を知っておこう

現金や預金は、インフレのリスクに弱いです。インフレリスクは、物価の上昇によって、金融商品の実質的価値が低減するリスクのことです。長期保有すればするほど、実質目減りする可能性があります。

つまり、ある程度の「使わないお金」を投資にまわすことは、貯金のリスクに備えるという役割もあるのです。

しかし、現状の家計に余裕がないのに、無理をして投資にまわす必要はありません。投資は、あくまで「損があっても家計に響かない」範囲で行うものと考えましょう。

投資先を決めるときのポイントは積立・長期・バランス

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投資する金額が決まったら、次に投資先を決める必要があります。

資産運用では、まず「目標値」を定め、投資にまわせる軍資金をどう運用すれば目標値に到達するのかを考えながら、投資金額や投資する期間などを決めます。株や債券を売買するタイミングを見計らうには、知識も手間も必要です。

そこで、手間なくリスクをおさえて、資産形成に効果的な投資を目指すために、「積立・長期・バランス」という3つのポイントをおさえることがリスク回避につながります。これをクリアできるのが、積立投信などをはじめとした投資信託です。

投資信託は、複数の投資家からあつめた資金をつかって、専門家に運用を託す金融商品です。少額から始められるので、投資初心者にも取り組みやすいのがメリットです。

・積立投信とは
毎月口座引き落としなどによって自動的に積み立てられ、手間なく気軽に始められる積立型の投資信託が「積立投信」です。価格が変動する金融商品を、定期的に一定額で買い付けていく投資方法なので、価格が低いときには購入量が多く、価格が高いときには購入量が少なくなります。つまり、初心者が悩みがちな「いつ、どれくらい株を購入すべきか」を気にする必要がありません。

・長期運用でリスク回避
さらに投資は、長期で運用したほうが、リスクを抑えられるほか、安定的なリターンが期待できると言われています。例えば「つみたてNISA」は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託が厳選されており、運用益に非課税枠があるため、投資初心者におすすめです。

・分散投資で安全な資産運用を
「分散投資」は資産運用におけるリスク回避の基本です。投資信託などを活用して、国内外の株や債券など、さまざまな金融商品に分散して投資を行い、バランスをとることで、リスクも分散させることができ、安全に資産運用しやすくなります。

・バランス型ファンドのデメリットもおさえておこう
これらの「積立・長期・バランス」を重視した「バランス型ファンド」の投資信託については、もちろんメリットも多くありますが、デメリットも理解しておく必要があります。

株式や債券がバランスよく組み込まれていて、一本で分散投資できるバランス型投資信託は、投資初心者の候補にあがりやすいですが、商品によっては手数料が割高に感じる人もいます。また、基準価額の動きの原因が理解しにくいため、自分が負っているリスクを把握しづらいというデメリットもあるので、そこをよく検討したうえで選ぶべきです。

とはいえ、個人で複数の株式や債券を買うには知識だけではなく多くの費用も必要となるため、はじめは、少額でプロに運用を任せられる投資信託を選ぶと負担が少ないでしょう。

貯金が続かない人のための上手な貯金方法

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いざ家計を見直してみたら「余剰資金があまりなかった」という人もいるかもしれません。そんなときは、背伸びして投資するよりも、まずは貯金を継続できるサイクルをつくることをおすすめします。

貯金で確実に資金を増やしていくためには、3つのステップを抑えるのがコツです。

貯金の目標額を決める

まず1つめは、「貯金の目標額」を決めることです。「いつまでに、いくら貯めたいか(いくら必要か)」をもとに、目標額から逆算して毎月いくらずつ貯めていくべきかを算出します。

支出を振り返る習慣をつける

2つめのコツは、支出を振り返る習慣をつけることです。貯金ができない人は、「なににいくら使っているかわからない」傾向があります。「いつのまにか財布にお金がない」「口座にあればあるだけ使ってしまう」という人は、まず支出の内訳を見直すところから始めると、無駄遣いを把握できるでしょう。コンビニなどでこまごま使ってしまう少額の出費以外にも、光熱費や保険料など固定費にも目を向けてみると、思わぬ浪費がわかることもあります。

「先取り貯蓄」でストレスフリーに

3つめのコツが「先取り貯蓄」です。収入がはいったら、先に貯金したい分の金額を別の口座にうつして、残った分で生活をやりくりしていく方法です。

毎回お金を手動でうつすのは手間なので、できれば自動積立を利用しましょう。「口座にあるぶんのお金をすべて使える」という満足感も得られるため、ストレスなく貯金のサイクルを続けられるメリットがあります。

貯金と投資の最適な割合は人によって差がある!よく考えて決めよう

(写真=milatas /stock.adobe.com)

貯金と投資の割合は、人によってベストなバランスが異なります。自分の将来を大きく左右するものなので、人のマネではなく、自分の資産運用の目的やゴールについてきちんとビジョンを立てて、計画的に運用するのがカギです。

また、貯金も投資も、無理があっては長続きしません。まずは身の丈に合った金額から始め、年齢などに応じて貯金と投資をうまく使い分けていくうちに、自然と自分にとって最適な資産運用がみえてくるでしょう。

 
文・木村茉衣
所属・ファイナンシャル・プランナー
FP資格保有/事業・生活設計コーディネーター。地銀勤務を経て、IT企業にて新規事業設計・メディア事業などに従事。現在は地方創生を主軸に、中小企業・自治体の経営・PRサポートに尽力している。関心分野は行動経済学、環境経営など。暮らしに役立つ生活経営のtipsなども発信中。

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