ソロリサイタルの伴奏を担当することに
里美さんは2年前に同僚だった教師の男性とお別れしフリーでした。奇しくも春樹くんも半年前に彼女とお別れをしたばかりだったそうです。再会の打ち上げの時に話が盛り上がり、春樹くんのソロリサイタルの伴奏をすることになった里美さん。
「彼が伴奏を探していると聞いた時、『じゃあ、わたしがやろっか?』って言ってみたら、とんとん拍子に決まっていきました。教師なんて毎日決まった時間に決まりきった授業をするだけですから何か楽しみを探していたというのもあります」
その後、週末を利用して二人はリサイタルに向けて練習に励む日々が始まりました。練習が長引いたり、ミーティングをする必要があったり、二人でいる時間は長くなるばかりです。そのうち、レッスンスタジオから近かった里美さんの部屋に春樹くんが泊まり込むようになります。
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100万円以上の費用を里美さんが払う
「思ったよりも仲良くなってしまって、いつの間にか私の方が彼のことを好きになっていました」
気が付けば、リサイタルに必要な費用を出費していた里美さん。練習スタジオ費用、ホール使用費用、ポスター印刷費用、衣装費用などその額は100万円超にまで膨れ上がっていました。
春樹くんの弛(たゆ)まぬ努力と、里美さんの出費によって、リサイタルは大盛況となりました。なんとクラシック関連雑誌からも取材が舞い込み、業界でもちょっとした話題になったそうです。
「二人して、次のリサイタルに向けて燃えていました。今度はもっと大きな場所でやりたいね、とか、プレスリリースも出してみようか、とか、曲目をもっと難しいものにしてみようとか、ハイになっていました」
そんな矢先、里美さんに悲劇が襲います。