映画監督として見えない壁にぶつかっていたと語る井口監督だが、本作を完成させたことで、そうした行き詰まり感からも解放されたそうだ。AV男優とその妻を主人公にした家族の物語などのオリジナル脚本を、現在は快調に書き進めているという。若い頃にアダルトビデオ業界を経験している井口監督ならではの、リアルかつユニークなホームドラマになるに違いない。

 純粋すぎるがゆえに傷つくことも多かった井口昇監督は、そうした体験と妄想を創作へと昇華させることで数々の愛すべき作品を残してきた。井口昇という監督の名前を聞くだけでも、きっと生きる勇気が湧いてくる人もいるはずだ。『異端の純愛』は、ある人にとっては危険な劇薬だが、別のある人にとっては孤独さを癒してくれる最高の妙薬となるだろう。

『異端の純愛』
脚本・監督/井口昇 プロデューサー・音楽/福田裕彦
出演/八代みなせ、中村有沙、山本愛莉、岡田佳大、九羽紅緒、大野大輔、井上智春、まお(せのしすたぁ)、中村優一
配給/大頭 PG12 5月27日(土)よりK’s cinemaほか全国順次公開
※5月28日(土)~6月7日(水)K’s cinema、6月12日(月)~21日(水)高円寺シアターバッカスにて「異端の映画監督 井口昇 純愛の世界」を開催。『クルシメさん』『わびしゃび』『恋する幼虫』『片腕マシンガール』『ラブレター』『キネマ純情』『ゴーストスクワッド』『変態団』『ゲスに至る病』『自傷戦士ダメージャー』『おばあちゃんキス』を上映
©2022 Noboru Iguchi/WONDER HEAD
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