◆尊いシーンの連続から、しんどい展開の確定演出へ

 とはいえ、そんな尊いシーンはこの後待ち受ける崩壊のための“フリ”にしか思えない。

 だからなのか、これほどまでに幸せそうにしている2人の関係に、どのようにして亀裂が入るのかがとても不安。さらには、「こういったラブラブシーンはもう見納めなのか……」という気持ちになり、しっかり目に焼き付けようともしたくなる。

『あなたがしてくれなくても』
 そもそも、旅行に行くことを陽一に提案した際、みちは「私の心を陽ちゃんでいっぱいにしたい」と心の中で口にしていたが、それは誠との記憶を陽一との思い出で早急に上書き保存したかったからではないか。

 誠を強く意識しているからこそ、旅行を通して陽一と過ごすことで、自分の気持ちを強引に陽一に向けようとしているように思える。

 つまりは誠への未練がタラタラであり、吉野家にしんどい展開が起こる確定演出と言えるセリフだった。