山鹿:先ほどもお伝えしましたが、このドラマでは“家事=女性”というくくりでストーリーを描いていません。それよりも、コロナ禍で孤食や黙食を強いられてみんなが気づいたことですが、誰かと一緒にご飯を食べることがとても重要なことであり、人生に潤いを与えてくれる幸せなことであるということを描いています。

 麻紀は一緒に食べる蒼太のことを想って料理を作り、蒼太は「いただきます」「ごちそうさま」ときちんと応えます。そこにはお互いのリスペクトと感謝、愛情がキチンと根底にあり、決して昭和の時代にあった亭主関白の関係性とは違うものです。時には蒼太も料理を手伝いますし、そこは取り立てて特別なこととして描くのではなく、ごく自然なこととして描いています。2人が並んでキッチンで料理をするシーンは、とても素敵です。

──ドラマシーンではこれまでさまざまな“仕事を頑張る未婚女性”のキャラクターが登場してきましたが、本作では“働く女性としての麻紀”をどう見せていきたいですか?

山鹿:今の世の中、昔と違い、女性が働くことは普通のことですし、また“結婚すべき”という価値観は薄れてきていると感じています。価値観が多様化したからこそ、制作側としては一方的な決めつけをしないようにはしました。