「男は仕事、女は家事」なんて前時代的な話だとはわかっていても、女である私は家事ができない自分を時々恥ずかしく感じることがある。こんなズボラな姿を見せたら女として見てもらえなくなるかもしれない――きっとそれは、私の中で“女らしさ”と“家事”が深く結びついてしまっているからだろう。一度染みついた価値観は、社会からも、自分の中からも、なかなかなくなってくれない。そう考えると、多くの男性もまた、筆者が“家事”という名の“女らしさ”で思い悩むように、稼ぎという名の“男らしさ”に何かしらプレッシャーを感じているのかもしれない。

 こうした私のような現代人のリアルな違和感をドラマは見逃さない。ここ最近、“家事”はドラマが現代社会を描くための重要な役割を担っているように感じる。稼ぎ手として仕事に励む女性もいれば、主夫となる男性もいる。男性のためではなく、自分のために料理をする女性だっている。主婦の仕事としての側面だけでなく、より多角的に“家事”というものを見据えているように思うのだ。

 例えば、今年の春ドラマでいえば『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系)がそれにあたるだろう。両ドラマはどういう意図で“家事”を描いているのか。それぞれの制作スタッフに、作品に込めた思いを伺った。