――「家事ができないこと」や「男性よりもキャリアがあること」は、女性にとって“結婚できない”要因として挙げられることが多々あります。主人公・速見のように、仕事のためにやったことが“女らしさ”としての評価になってしまうことも。そうした社会で生きる速見というキャラクターの見せ方について、スタッフさんの間ではどのような話し合いが行われていますか?

佐々木:おっしゃるとおり、現実社会でもこういった場面に直面している速見のような女性も多いと思います。ただ、キャリアを重ねていく上で、社会的な性別(ジェンダー)の“役割”から外れているというだけでマイナスな印象を持たれたり、周りからの嫉妬や妬みを買ってしまったり、評価対象が仕事の実力だけに限らない……というのは、女性に限った話ではないのではないかなとも感じます。これはこのドラマのテーマにもなりますが、家事が不得手な速見に限らず「苦手なこと=マイナス」として見せるのではなく、相手とそれを補い合うことにフォーカスするところをちゃんと見せたいという話し合いはよくしていますね。

――本作には、稼ぎ手となる女性=速見/主夫となる男性=山本がメインキャラクターとして登場します。視聴者への届け方について意識している点はありますか。

佐々木:わかりやすいテーマであるがゆえに、その点を主張しすぎるとある種の“押し付けがましさ”を生んでしまうとは思っています。このドラマは、性別関係なく、相手の得手不得手を理解し、尊重し、補い合っていこうということがテーマなのであって、“男も家事をしてください”、 “女は働いて大黒柱になれば、家事はしなくていいです”という事実だけを伝えたいわけではないんです。だからこそ、その点の見せ方、チューニングは意識しています。キャラクターが個性豊かで、キャストの皆様も魅力的に演じてくださっているので、何か嫌なことがあったとしても、このドラマを観てくださった方が心から笑い、ほっこりし、明日も頑張ろうかなと思ってもらえるような、そんな明るさとあたたかさが伝わったらうれしいです。