◆まずは挨拶だけでも
――話し掛ける場合は、どんな声掛けだといいのでしょうか?
水谷:「お母さんはどうしたの?」と毎回聞かれて嫌だったという声がありました。ヤングケアラーの家族を責めたりせず、「いつも頑張ってるね」と褒める方がいいと思います。人に声を掛けるのは大人でも勇気がいると思うのですが、まずは挨拶だけでもいいと思います。
挨拶という形で何回かジャブを打っておくと「この人になら言えるかもしれない」という気持ちになるという元ヤングケアラーの方もいました。
――あまり心配する様子を見せない方がいいのでしょうか。
水谷:あからさまに心配すると警戒されるかもしれないですが、何もしないよりはましだと思います。
ある支援団体では、子供に何も聞かず、まずは皆でゲームをして遊ぶそうです。何回も遊んでいるうちに子供がぽろっと悩みを話してくれることがあると言っていました。近所の大人が一緒に遊ぶのは難しいと思うので、まずは挨拶から始めるといいと思います。
(C)水谷緑/文藝春秋
<取材・文/都田ミツコ>
【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。