『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)は、大人がやるべき家事を強いられている子供達、「ヤングケアラー」について描いています。ストーリーはフィクションですが、エピソードは著者の水谷緑さんが取材した実際の体験談に基づいています。

水谷緑さん(画像提供/文藝春秋)
水谷緑さん(画像提供/文藝春秋)
主人公のゆいちゃんは、統合失調症を患う母親、家事をしない父親の代わりに家族の世話をします。母親の精神状態は不安定で、時には包丁を振り回して追いかけてくることもあります。ゆいちゃんはそんな生活の辛さを感じないようにするかのように、「私が一家を支えている」と誇らしさのような気持ちを持っています。

しかし、幼い頃から自分より周りを優先してきたため、成長と共に歪みが大きくなっていきます。無気力さに苛まれ、不眠や頭痛などの身体的な不調を覚えるようになっていきます。

前回は著者の水谷緑さんに精神疾患患者を抱える家族の苦しさなどについてお聞きしました。今回は、3話と4話を紹介し、後半では子供に家事を押し付ける父親の問題や、成長したヤングケアラーが抱える悩みなどについてお聞きしました。