レコード会社社員はこう問題点を指摘する。

「一つ目は、相談担当を決めてからわずか数日後の四月二十一日、取引先に『問題となる点は確認されておりません』と伝えていること。数日で何がわかるのだろうか」

 文春は、「何より問題なのは、これまで性加害を放置してきた経営陣の下で、調査が行われていることである」と指摘する。

 ジャニーズ事務所から手紙を受け取った多くの企業は、文春の問い合わせに口をつぐんだ。だが櫻井翔の出演する三井不動産は文書を受け取っていないとしつつ、こう答えた。

「報道が事実だとすれば誠に遺憾。差別やハラスメントの禁止といった法令遵守は非常に重要である」

 事務所に厳正な対応を求める声もある。なにわ男子が出演するローソンは、「公平かつ適正な調査によって、事実関係を明らかにすることが重要」と答えた。

 ホールディングス全体で4件のCMを放送するアサヒグループHDは、「事実であれば誠に遺憾。文書に記載されている今後の対応策が進展することを期待している」とした。

 しかし、ジャニーズ事務所のタレントを多く起用してきたテレビ局はおおむね、回答しないか、当たり障りのない答えに終始した。

「テレビ局も人気タレントを求める視聴者の手前、事を荒立てたくない。ただ、スポンサーが性加害に厳しい目を向けるようになれば別。対応を変えざるをえなくなるでしょう」(上智大学文学部新聞学科の永島宏明教授)

 この問題を有耶無耶にしてはいけない。文春だけでなく、他のメディアもジャニーズ事務所のいいなりになるばかりではなく、独自に問題を掘り下げることが期待されるが、果たしてどうなるか。