悔しさは「これから」のために

 ジャニーズ事務所の問題は連日ネットニュースで取り沙汰され続け、いよいよNHKだけでなく各キー局のテレビでも報じられている。だが、ここまでとても長い時間がかかったこと、それでもまだ「少し進んだ」くらいということも、重く受け止めなければならない。権力者から未成年への性加害が続けられた事実は残り続け、ファンもタレントも安心できる健全な状態にするには「これでもまだぜんぜん足りない」のだから。

 また、現在は配信などでレンタルができる映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』では、性加害を続けていたプロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインを告発するため、2人の女性記者が何度も何度も地道に取材と交渉を続け、そして#MeToo運動につながるまでの過程が描かれている。この映画を踏まえると、喜多川擴の性加害を1999年からの報道や裁判の時点で、同じようにもっと追及できなかったのか……とやはり悔しい気持ちになる。

 その悔しさは、報道に関わる者に限らず、ジャニーズ事務所所属のタレントのファンも、そうでない人も覚えておくべきだろう。世界が#MeToo運動で変わったように、日本の芸能界に限らない性加害の問題、報道の不健全さや不自由さが変わるのは「これから」なのだから。