あくまで「関係者」宛てという不誠実さ

 さらに問題なのが、文書があくまで音楽関連会社など「関係者」宛てに送られていたもの、ということだ。4月29日現在、ジャニーズ事務所の公式サイトにはオカモト氏の告発も、性加害の問題も何も触れられていない。被害者本人だけでなく、ジャニーズのファンに対する釈明もまったくなされていない状況だ。

 このジャニーズ事務所の対応は、不誠実であるのはもちろん、もはや不気味ですらあると思う。ここまでの重大な犯罪行為が何十年も野放しにされ続けたという事実が日本のみならず世界中に知られ、その加害者の愛称を使っている以上、事務所自体が存在し得ない、ジャニーズという看板をおろす(社名やグループ名の変更をする)段階にすらあると思えるのだが、それでも芸能事務所にとってもっとも大切な顧客であるはずのファンに対して「無視」を貫いているのだから。

 なぜ、そんなことができるのだろうか。筆者自身は特にジャニーズのファンというわけではないが、タレントのファンの方にとって、これはどれほど腹立たしいことだろうか。「ファンは何も言わずともお金を出してくれるから放っておこう」「それよりもタレントの仕事に直接関わる音楽関連会社などに釈明しないといけない」という事務所の姿勢がありありと見えたのだから。