会社の外に出て行うインタビューは、仕事ではあれ、会社との接続を一時的に断つことができる。だからその時間だけは、なんとか「息をする」ことができた。
アダマンが川に浮かぶ船なのは示唆的だ。川岸からの通路によって地上=社会とつながってはいるが、朝、通路を歩いて船に乗り込んでしまえば、そこは地上ではなく水の上。彼らの心を蝕んだ社会からは、きっちり隔てられている。たかが場所、されど場所。場所は、それほどまでに人の心を左右する。
通いのデイケアセンターなので、1日が終われば、彼らは来た通路を戻って地上=社会に帰っていく。自分は社会と途切れていないと実感できる。「二度と普通の社会生活を送れなくなるかもしれない」という不安に押しつぶされることはない。
アダマンが「出港しない船」というのも実に絶妙だ。川岸から離れてしまっては、物理的にも精神的にも社会から離れすぎてしまう。接岸くらいが丁度良い。
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