精神疾患なのに生き生きしている
パリのセーヌ川に浮かぶ、船の形をしたデイケアセンター「アダマン」。『アダマン号に乗って』は、そこに日々集う精神疾患者たちの様子を捉えたドキュメンタリーだ。ただし、船の形といっても実際に出港するわけではない。木造造りの建物が川岸近くに固定してあり、川岸から乗り込み用の通路が設置してあるのだ。
「精神疾患者のドキュメンタリー」とはいえ、息の詰まる深刻さや暗さ、あるいは“奇行”の類いを見世物とするような作品ではない。映っているのは、人々が生き生きと音楽や絵画といった芸術活動、あるいは知的な会話を楽しんでいる姿だ。彼らひとりひとりへのインタビューも実に味がある。
なぜ、彼らは心を病んでいるのに、こんなにも生き生きしているのだろう?
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