「自分をどうしても男性としか思えない」が勘違いではない、と自身で認められるようになったのは、ここ数年のこと。そのとき私はすでに結婚し、夫の両親と暮らしていた。

性別に違和があることを義母にはとてもじゃないけど打ち明けられず、同居に限界を感じて家を出た。家探し、職探し……どこにでも性別の壁は立ちはだかる。

大雨、台風、夜、公演
写真はイメージです(以下同じ)

やっとの想いで、かねてから切望していた男性ホルモン投与をはじめ、見た目や声が男性化していった。転職、義母の他界を経て、現在は義実家に戻り夫とその父と暮らしている。

いまのところ、戸籍を変更するつもりはない。現在の日本では、戸籍の性別を変更するには厳しい要件をクリアしなければならない。