モンゴルで問題となっている自殺率の高さ
サロールは大学で原子力工学を学んでいる。モンゴルはウランなどの地下資源が豊富なことから、日本企業は積極的に核関連施設の建設を進めようとしていた。センゲドルジ監督いわく「その事実は知らなかった。今どきの女の子から、いちばん縁遠そうな学部として選んだだけ。他意はない」とのことだ。
しかし、近代化が進むモンゴルは、街の暮らしは便利になったものの、さまざまな社会問題が浮上していることも確か。そのひとつが自殺率の高さ。2019年の調査では、モンゴルの自殺率は17.9(10万人あたり)と日本の15.3よりも高い。サロール一家の暮らすマンションでも自殺騒ぎがあり、サロールの精神状態に影響を与える。死について考えるサロールだった。
モンゴルで多発する自殺についても、センゲドルジ監督は語ってくれた。社会の変動に加え、その人の内面が大きな問題ではないかとセンゲドルジ監督は考えている。
センゲドルジ「人間は自分自身とは別に、心の中にもうひとりの自分がいるものだと思います。自分自身ともうひとりの自分とが、きちんとコミュニケーションができていれば大丈夫なんですが、もうひとりの自分とうまくコミュニケーションできずに悩む人もいます。もうひとりの自分に負けてしまう人もいる。そんなとき、人は死にたくなってしまうのかもしれません」
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