モンゴルから、たまらなくキュートかつユニークな青春映画が届けられた。物語の舞台となるのはモンゴルの首都ウランバートル。人口160万人の大都市にあるアダルトグッズショップで、ワンオペ店員として働くことになった女子大生を主人公にした成長譚だ。自分の将来や「性」に関する漠然とした不安を抱える女の子・サロールの揺れ動く心理を、モンゴル映画『セールス・ガールの考現学』(英題『The Sales Girl』)は繊細に描いている。

 女子大生のサロール(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル)は両親に勧められ、大学では原子力工学を専攻している。両親とは仲がいいが、苦労して大学に進学させてくれた両親のことを考えると、「自分には理系は合っていない」とは言い出せずにいた。いつもヘッドフォンで音楽を聴き、おとなしい性格のサロールは、いかにも「Z世代」っぽい女の子だ。