上場審査はどのように進む?

上場審査の一環として、ヒアリングや実地調査、eラーニングの受講、公認会計士ヒアリング、社長や監査役などの面談、社長説明会などが行われる。

実地調査においては、東京証券取引所の上場審査担当者が実際に申請をした企業の本社や事業者のほか、工場などの現場を訪れて評価を行う。その際には会計面の審査も行うために会計伝票なども確認する。eラーニングは上場の心構えや求められる経営管理体制に関する内容などを学ぶという趣旨のもの。IPOを目指して上場申請した企業の役員などが受講する。

その後、東京証券取引所内で承認の決裁が行われると、上場を承認したことが発表される。上場後に公募・売り出しを行うケースにおいては、発表を行った約1カ月後に申請企業は上場し、IPOを果たすということになる。

上場後、東京証券取引所は約1年間にわたり、新規上場した企業に対してサポートを行う。このサポートは上場企業の事業において適切さを保ってもらうことを目的としている。例えば、社長の辞任や組織改編、企業との提携などについてもフォローアップを行う。

上場審査の「形式要件」とは?

最後に、前段でも触れた、上場申請のための2つの基準について解説する。「形式要件」と「実質審査基準」だ。

形式要件では、IPOにより上場したときの株主数が800人以上を見込むことや流通株式数が4000単位以上で、時価総額10億円以上であること、流通株式比率が上場株の3割以上であることなどが求められる。

そのほかにも、上場したときの純資産の見込み額が10億円以上であり、過去2年間の利益が5億円以上であることや、過去2年間の有価証券報告書などに虚偽記載が無かったことなども求められている。

このように形式要件は非常に細かい形式要件が定められている。この基準をクリアすることは決して容易であるとは言えず、そのためどの企業でも簡単に上場できるというわけではないことが分かる。

上場審査の「実質審査基準」とは?

続いて、実質審査基準について解説する。実質審査基準では、企業の継続性や収益性、経営の健全性、内部管理体制、企業内容の開示状況といった要件で構成される。

例えば企業の継続性や収益性の審査基準では、事業計画が評価される。ビジネスモデルやリスクなどを踏まえて、上場に値する適切な事業計画を立てているかが判断されるわけだ。そのほか、経営の健全性という基準では親会社からの独立性があるかといったことなどが重要となり、内部管理体制という基準では法令遵守の体制に注目されるなど、それぞれの審査基準に応じて、企業のさまざまな側面が審査の対象となってくる。

IPO実施までの険しい道のり

このように、IPOが実施されるまでの道のりは険しく、決して容易ではない。IPOによって上場株を売買する投資者を保護するために、ハードルは高く設定されているのである。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/ZUU online

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