少し離れたコミュニティでは、E.sceneやHannah Warmといったジャズやフュージョン、ファンクの要素をハイセンスに取り入れる新世代が現れている動きも見逃せない。篠田ミルをプロデューサーに迎えたMay.Jの『Silver Lining』や、先日ついに全貌を明らかにしたLMYKの『DESSERTS』など、アンビエントの要素を効果的に反映した作品もいくつかあった。

E.scene「About me」

 つまり、コアの部分をしっかりと守りながら変化を遂げている演者がいる一方、隣接する異なる音楽性を取り込みながらR&Bの可能性を拡張させる面々も揃えているという点で、メディアの過度な関与がなくともジャンルとしての自律性を保っているのが近年のR&Bというわけだ。

 そこに、一風変わった才能であるコレクティブ〈w.a.u〉が入り込んでくることで、シーンの力学がいかなる方向へ動いていくのかが興味深く、目が離せないのである。

 もっとも、現在の勢力図を生んだ動きのひとつとして、昨年からEBISU BATICAで行われている若手R&Bアーティストのパーティ「Floating」の存在は語られて然るべきだろう。それこそSincereからE.scene、Hannah Warm、reinaなどアップカミングなシンガー/バンドらが出演してきた企画として、現在のシーンの勢力図をそのままに反映している絶妙なラインナップが続いている。