没個性と個性の間のぎりぎりを、針の穴を通すような塩梅で刺してくるのが、このコレクティブの特徴のように思うが、特にKota Matsukawaは女性アーティストのプロデュースに積極的に関わっており、ほかにも安次嶺希和子やおかもとえみといったシンガーとも共作経験がある。
「w.a.u以降」という時代のうねりが可視化されつつある今、この波がシーン全体にどのような形で影響を与えていくのか、私はやや緊張感を抱きながら追いかけている。
さらさ「Amber」
というのも、近年の国内シーンはなかなか〈R&B〉というカテゴリー自体では注目されにくかったものの、アーティスト単位では非常にバラエティ豊かな才能を揃えてきたからだ。オーセンティックなジャンル性を継承しながら王道のR&Bの豊かさを確かな歌唱で伝えるシンガーたち――中堅のNao Yoshiokaから、昨年傑作『Chosen One』を作り上げたaimi、VivaOlaとも繋がるSincereまで――は良質な作品をリリースし続けているし、対してポップス畑に近いところでもXinU、CELINA、大比良瑞希、NEMNEといったニューカマーが続々現れ、ストリーミングのプレイリストを沸かせている。
もちろん、同様の領域ではJASMINEからiri、RIRI、MALIYAといった一~二世代前の実力者たちがいまだにリリースペースを落とすことなくエッジの立った曲を出し続けている状況もある。
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