一度、紀里谷和明というものを殺してみたい

――ハリウッド進出作『ラスト・ナイツ』には、モーガン・フリーマン、クライヴ・オーウェン、アン・ソンギと世界各国の名優たちが集結しました。

紀里谷 それが、日本だけ配給が決まらなかったんです。自分で配給もすることになりましたが、『CASSHERN』『GOEMON』に比べ、興収的には厳しい数字になりました。モーガン・フリーマンら各国の名優たちを使って映画を撮った日本人監督は、今までいなかったわけですよね。『ラスト・ナイツ』を僕は悪い映画だとは全然思いませんが、もはやなかったことになっています(苦笑)。

――『世界の終わりから』が最後の監督作になるわけですが、紀里谷監督にとっては「映画監督」は職業でも、肩書きでもないようですね。

紀里谷 もちろん、そう思っています。僕はひとりの人間であり、その中の要素のひとつが映画監督であるという認識です。職業だとは思っていません。まぁ、完成披露の際にも言いましたが、この20年間は苦しみの連続でした。本当に苦しくて、何度も死んじゃおうかと考えました。今回の『世界の終わりから』はどう受け入れられるのか。最後の審判がくだるつもりでいるんです。