――2000年代前半までは日本映画界はまだ多様性がありましたが、次第に閉塞的な状況に変わって行きました。

紀里谷 1980年代や90年代には、『AKIRA』(88)や『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)といった劇場アニメが世界的に支持されたわけでしょう。今の日本からは、そうした世界で通用するヒット作は生まれていない状況です。もちろんお金を払って映画を観てるから、批判は自由にしていいんですが、ダメなところばかり責めるんじゃなくて、もっと建設的な意見が多ければ日本映画は違ったものになったんじゃないのかなとは思います。

――『GOEMON』に紀里谷監督が明智光秀役で1シーン出ただけで叩かれてしまう。

紀里谷 一部の人たちにとっては、僕の見た目も気に入らないみたいです。でも、そんなに他人を叩いたりすることで、誰が得をするんだろうと思いますよ。誰も得をしないし、世界はどんどん閉じたものになってしまうだけです。