なぜなら、「仮面ライダー」という作品のメインテーマが、「改造人間であることの哀しみ」であるからだ。
自分の意思とは関係なく、仮面ライダーに改造されてしまった本郷猛は、自分の呪われた運命に悩み、葛藤し、孤独感を抱えながら生きていく中で、正義のヒーローとして目覚めていく過程を描いている。それこそが「仮面ライダー」という作品が描こうとしていたことであった。
しかし当時は、あくまで子ども番組という前提であることから、人間ドラマの部分はざっくりと描かれていた。そんな中でも、そういったテーマ性は感じられていたものだったが、今作には、それが全く感じられない。
なぜなら主人公である本郷猛が改造人間であることをすんなりと受け入れてしまうからだ。全く描かれていないわけではないし、冒頭やセリフ内で多少触れられることはいるのだが、葛藤も何もないといった感じで、「仮面ライダー」という作品が何を描こうとしているのかを全くはき違えているようにしか思えないのである。
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