日本においては文化・社会的な観念という議論を盾に医療業界の権益が守られ、女性が健康に暮らすための権利や選択肢がないがしろにされてきたという事実はもはや疑いようがない。

 コロナ禍が一旦、終息しようとしている昨今。一部の医療関係者が命懸けで奮闘する中、病床確保料を得ている病院が“医療崩壊”という名目で患者の受け入れを拒否していたという事実も、徐々に明るみ出ている。それと同様の経営を優先する構図が、アフターピルや経口中絶薬の議論からも透けて見えてこないだろうか。

 経口中絶薬の承認は入り口でしかない。価格設定や運用方法がアクセスしやすいものとなり、真に女性が自分の健康を守るための選択肢となることを願うばかりだ。