実際、日本では諸外国と比べてアフターピルも割高だ。

 経口中絶薬の価格については議論が進んでいくと考えられるが、承認されたとしても高額で手が出しにくいとなれば選択肢としての意義を持たなくなる可能性もある。また山本氏は「運用方法も今後の課題だ」と指摘する。

「産婦人科の専門医でなければ処方できないのか、普通の病院でも置くのか気になるところ。仕事をしている女性の場合、9時17時の産婦人科に行けない人も少なくないと思います。1日内服が遅れたから使えないという薬ではないですが、厳密に規制で用法を守らないといけないとなると、土日に開いている病院で置くのかどうかといった問題も出てくるでしょう。また東京であればアクセスが容易になると思いますが、地方には産婦人科が極端に少ない地域も多い。女性の身体的・精神的健康を守るという観点から、運用方法はしっかり検討されて然るべきです」(山本氏)

 また「経口中絶薬の存在を周知させることも重要な課題だ」と山本氏は付け加える。