投資を始めるなら、まずは失敗してもダメージの少ない金額からチャレンジしたいという方は多いのではないでしょうか。本記事では、少額から投資できて初心者にも人気の「投資信託」について、そのメリットやデメリット、始め方などを詳しく解説します。
少額でも投資できる? 投資信託は「積立投資」がおすすめ
そもそも、投資信託(投信)とはどんなものなのでしょうか。
投資信託は、多数の投資家がお金を出し合うことで成り立っています。
投資家は運用方針や過去の実績などを見て自分のお金を託す投資信託(ファンド)を選びます。集まったお金は、ファンドマネージャーという運用のプロによって、株や債券などさまざまな資産に分散して投資されます。
その運用で得た利益を分配金として受け取ったり、投資信託の価値が上がったところで売却して値上がり益を得たりして、お金を増やすしくみです。
投資信託は1万円でも十分スタートできる
投資というと、数十万、数百万単位の大金を用意しなければならないというイメージがあるかもしれません。しかし、今は子どものお小遣いのような金額でも手軽に始められます。
いくらから始められるのかは金融機関によって違います。投資信託の場合、一般的には1万円からということが多いですが、なかには100円から投資可能、貯まっているポイントのみで投資可能というところもありますよ。
初心者なら「積立投資」から始めてみよう
初心者に特に向いているのが、積立投資です。名前のとおり毎月一定の金額をコツコツと積み立てていく投資手法です。
一度設定しておけば毎月自動的に口座から引かれて積み立てられていきますので、「投資」と聞いてよくイメージされるような、相場の上下に一喜一憂しながら売買のタイミングを図る、ということは不要です。
手元資金が多くなくても、少しずつ長期間継続して取り組むことで利益を目指せますし、後述しますが「つみたてNISA」や「iDeCo」といった制度を利用することも可能です。
はじめての投資としては、「投資信託×積立投資」は相性がよく、おすすめの投資方法です。
少額から投資するメリット・デメリット
少ない額から気軽に始めやすい投資、そのメリットだけではなくデメリットもあわせて知っておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
気軽に投資に参加でき、 失敗してもショックが少ない |
ローリスク=ローリターン |
手元資金が少なくても複数の商品を購入でき、 分散投資ができる |
手数料が高くなりがち |
100円など、なくなってもさほど気にならない金額から実際の投資をスタートできるというのは、少額投資の大きな魅力です。
投資信託なら1本購入しておくだけで、いくつもの会社に投資したのと同じリスク分散効果が得られるものがたくさんあります。さらに、投資対象が違う複数の投資信託を持っておけば、1つの出来事ですべての資産が急落するような事態を避けやすくなります。
手元資金が多くなくても複数の商品を購入することができますし、失敗しても生活に支障が出るようなことにはなりませんので、挑戦しやすいのではないでしょうか。
逆にデメリットですが、少額しか投入しないということは少額しか利益を得られません。
たとえば、「100円分投資し、運用がうまくいって倍の200円になった」とします。しかし、これでは「ちょっと得した」くらいで、とても「老後の資産形成」とまではいきません。これは極端な例かもしれませんが、少額投資はリスクが抑えられる分、期待できるリターンも少なくなります。
また、手数料の問題もあります。商品によっては積立で自動購入するたびに手数料がかかるものがあります。手元の資金やタイミング次第では、一括でまとめて購入した方が少額で積み立てるよりも得になります。
特に投資信託は、運用をプロに任せることなどから手数料がかかります。証券会社や商品選びの際には手数料をよく確認することが重要です。
少額から投資信託を始める手順は? 口座開設から購入方法まで
投資信託を始めるには、まずは口座を用意する必要があります。銀行なら投資信託口座、証券会社なら証券口座と呼ばれていて、普通預金の口座とは別物です。
どの金融機関で口座を開設するかによって、選べる投資商品の種類や数、手数料などが違いますのでよく比較検討して選びましょう。
口座を開設できたら、次はいよいよ投資商品を購入します。金融機関の窓口でも可能ですが、今はほとんどインターネットでできるようになっています。マイページから、気になる商品を選択すると、運用方針や過去の実績などが確認できます。
どれに投資するか選んだら、単発なのか積立なのか、つみたてNISA枠での購入なのか、いくら買うのかなどを選択、入力して注文ボタンを押します。
注文が完了したら、その代金が口座から引き落としされます。これで投資デビュー完了です。手順自体はまるでネットショッピングのようで、難しいものではありません。
税金の優遇が魅力!少額から始められるNISAやiDeCo
(写真=PIXTA)
投資に興味を持った方なら「NISA(ニーサ)」「つみたてNISA」「iDeCo(イデコ)」という言葉をすでにご存知かもしれません。どれも、税金面での優遇が受けられる制度です。
NISA
NISAは「少額投資非課税制度」とも呼ばれます。通常、投資をして得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すると非課税になります。年間120万円分の投資ができ、最長5年間適用されます。
つみたてNISA
つみたてNISAもNISA同様、投資で得た利益が非課税になります。つみたてNISAでは、投資先は金融庁が積立・長期・分散投資に適していると判断した投資信託に限られます。投資できる金額は毎年40万円まで、期間は最長20年間です。
iDeCo
iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」です。老後に備えて自分で自分のための年金を用意するためのしくみです。
老後のための制度なので原則60歳まで引き出せませんが、NISAと同じように運用で得た利益が非課税になるだけでなく、掛金を支払うときも老後に年金を受け取るときも控除が受けられ、税金の負担が軽減されます。
ほかにもある、少額でできる投資3選
少額から投資に取り組める方法はほかにもあります。
単元未満株
投資信託だけでなく、株(株式)も少額から始められます。株は通常100株など、まとめて購入するものですが、証券会社によっては1株から、10株からなど、より小さい単位で買えるサービスを提供しているところがあります。
単元未満株、S株、ミニ株、プチ株、まめ株など証券会社ごとに呼称は違いますが、どれも少額から株式投資ができますよ。これらは通常の株と違って議決権はありませんが、配当金や値上がり益は狙えます。
おつり投資
近年、スマホアプリを使った「おつり投資」も注目されています。クレジットカードや家計簿アプリの情報から、買い物の際の「おつり」にあたる金額を自動的に投資に回します。投資先は運用のプロやロボアドバイザー(AI)にお任せです。
「おつり」の金額を最少5円から設定できるアプリもあります。昔ながらの小銭貯金の延長のような感覚で、投資にチャレンジできますね。
ポイント投資
普段のお買い物などで貯まったポイントを使って投資できるサービスもあります。自分の手持ちの現金ではなく、たまたまもらったポイントが使えるので、「せっかく稼いだお金が減るのは嫌だ」という方でも取り組みやすいかもしれませんね。
楽天スーパーポイントが使える楽天証券、dポイントが使える日興フロッギー、Tポイントが使えるSBIネオモバイル証券などがあります。
投資は少額からでもOK!無理のない金額から始めてみよう
ここまで見てきたように、投資を始めるのに多額の資金は必要ありません。まずは、なくなっても気にならないような金額から練習してみるのも一つの方法です。
たとえ少額でも、投資商品の選び方、購入手続きのやり方、相場の動きの見方、激しく値動きしたときの自分の感じ方など、本で読むよりも実際にやってみた方が早く学べることも多くあります。また、経済ニュースなども自分事として興味が持てるようになって楽しいですよ。
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