◆食は生きる源。元気になっていく夫を見て…
注文してからも、不安に押しつぶされそうで、正直食事が喉を通るのだろうかと思うほど、食欲は減退。夫の体調を気遣いつつ、重い時間が続く中、うどんが運ばれてきました。
右手がうまく使いにくい夫の代わりに私がうどんを混ぜ、「はい、どうぞ」と夫に箸を渡すと、夫はうどんを一口すすりました。すると、悲しそうだった表情がパッと明るくなり「美味しい!」と一言つぶやいたのです。
おや?と様子を見ると、驚くほどハイペースにうどんを食べています。ホクホクしながら美味しそうに食べている夫の様子は、まさに「生きる姿」そのもの。先に起こることばかり考えておびえていた私でしたが、「あぁ、夫はまだこんなに元気に生きているじゃないか」と気づいたのです。
今、必死で生きている夫にできることを一つ一つ探して、それを一緒に積み重ねていけばいい。その先に、結果があるんだと思えて、自分の思考がリセットされました。
なんだか私もうどん本来の味が感じられるようになりました。あまりに美味しそうに頬張る夫を見ていたら、私も夫のうどんを食べてみたい気がして「ね、少しちょうだい」と一口もらうことに。