◆失意の中で訪れたうどん店

失意の中で訪れたうどん店
 診察が終わり、私はショックで呆然としていました。さっきまでウキウキしながらうどんの話をしていたのが、遠い昔のよう。「これからどうなるのか」と不安が募ります。

 夫も気落ちしており、困った犬のような、悲しげな顔をしていました。しかし、病院を出ると「うどん屋に行きたい」と一言。私も、もしかしたらもう元気に食べに行けるタイミングは残り少ないかもしれない、と考え、タクシーに乗って、新中野にあるうどん店「讃岐のおうどん 花は咲く」に向かいました。

 この日は昼から雨がしとしとと降り、どんよりした曇り空が私たちの気持ちをより重くさせます。しかも、タクシーが道を間違えるというアクシデントが発生。お店に着いた時はすっかりぬれねずみでした。

「今日は厄日かな……」とぐったりしながらメニューを開き、私は「かしわ天ぶっかけ」、夫は「KTMB釜玉明太バター」といううどんを注文。九州出身で釜玉が好きな夫らしいチョイスです。