観た人が「ファンのおじさん」になれる

 感情移入を加速させてくれるのは、劇中に「3人の若者を応援する立場のおじさんたち」がいることだ。

 例えば、「大から手作りのビラを受け取って『行く可能性は10%くらい』と言ったおじさん」は、「ジャズにまったく興味がなかった」が「熱意を受け取った」立場だ。それはさしずめ、この『BLUE GIANT』を知らなかった、ジャズを聴いたことがなかったものの、数多くの口コミで熱意を受け取って観に行った現実にいる人を連想させる。

「雪祈のサインを期待していたおじさん」は、直接的に雪祈の精神面での成長に大きく関わる。自信家であるがゆえに他人を見下していた彼の物語にも、ぜひ注目してほしい。