3人それぞれの成長が演奏にシンクロする

 本作の内容は「18歳の若者たちがジャズバンドを組む青春音楽映画」と、シンプルと言ってもいい。

 実質的に3人いる主人公は、「世界一のジャズプレイヤーになる」と信じて疑わないサックス奏者・宮本大、自信家であるが故に不遜なところもあるピアニスト・沢辺雪祈、経験ゼロの素人ながら必死で彼らに食らいつこうとするドラム奏者・玉田俊二と、個性豊かだ。

 そして、彼らの「青春と成長」が「圧巻の演奏とシンクロしている」ことが、このアニメ映画『BLUE GIANT』の大きな魅力だ。

 大は揺るぎない精神を持つ天才で、他の2人を「引っ張っていく」立場。雪祈と玉田は、それぞれ別の理由で「壁」にぶち当たり、その壁を乗り越えるために努力を重ねていく。そして、それぞれの成長が「演奏」そのものにも大きく影響していることが、ジャズの門外漢でも手に取るようにわかるようになっている。