たしかに何かしらのエラーが起こったのは間違いないが、470点という点数の合致があまりにも奇跡的過ぎて、元芸人として見ても怪しさ満点だ。しかしこの「470点」というキリの良い数字が何とも言えない。確かにリハーサル時に仮で点数を入力することはあり、スタッフさんがキリの良い数字を入力することは多々ある。これがもし「469点」など中途半端な得点だったら疑う余地もなく「ヤラセ」だと思えるのだが「470点」はヤラセではない可能性が十分に考えられる数字なのだ。なのでこの点数だけでは何とも言えない。

 ヤラセではないという根拠のひとつに「審査員5人」がやらせをやる必要性が無いという部分。たしかに何のメリットもないし、やる理由もないように思えるが、やらないとは言えない。お笑い芸人は基本的に助け合いの文化であり、よっぽどのことでない限りスタッフの言うことを聞くという性質がある。なのでR-1グランプリに恩があったり、田津原さんと同じ事務所で、事務所に貢献したいなどの理由があり、自分用に提示された点数に納得がいくのであれば、そこまで抵抗なくヤラセに従う気がしてしまう。

 ちなみにこの大会のルールを踏まえると、審査員全員にヤラセをお願いしなくても、5名中3名が番組側の操作を承諾すれば、誰かを優勝させるなどたやすい事だ。そう考えると今回審査員たちの点数にバラつきがあったことも納得できる。

 そもそも皆さんが悪としている「ヤラセ」とは何か? 元々はメディア業界の業界用語で「メディアが作った虚偽の報道をすること。事実らしく見せながら実際には演出されたものであること」という意味で使われている言葉なのだ。つまり「ヤラセ」イコール「事実に見せかけた演出」ということであり、視聴者を楽しませるという前提で行うのであれば、多少行き過ぎても問題ないように思える。