本命に対抗する美形の彼、ライバルの美少女、腹心の親友と“胸キュン映画3点盛り”が整っているのは安心しますが、さらに感心したのは彼らそれぞれが“自分の人生の主役”であると伝わってきたことです。
たとえ恋が実らなくても、わだかまりがあっても、自分と向き合いすがすがしく成長する少年少女の姿が丁寧に描かれていて、とっても好もしい。ある人は「好きな人の恋人にはなれなかったけれど、これからはいちばんのファンになる」と気持ちを切り替え、自分の恋に美しく決着をつけました。こういう潔さは、いろいろ濁りがちな大人はぜひとも見習いたいところ。
そして、“ごっこ”から抜け出して本当の恋に踏み出した千輝くんと真綾が迎えるエンディングは、糖度120パーセント超えの体感! ひからびたBBAの胸にも、ありがたい潤いがもたらされました。
苦しくて涙しても、手放しがたい甘さに絡めとられてどうにもできなくなる。それが、片思いの困ったところと言えましょう。大人のみなさまも愛すべき“片思い”を追体験できる、ほのぼのと平和なロマンス譚です。