キャストにはそれぞれのバックグランドについても語ってもらい、キャスト自身が抱えている葛藤などをキャラクターに生かすようにしました。監督とキャストとの信頼関係で語ってもらったことなので他言はできませんが、キャラクターに深みを出すのに大きく役立ったことは間違いありません」

 少年犯罪というナイーヴな問題に、アンシュル監督は映画制作を通して4年間にわたって向き合った。

アンシュル「事件が起きてから、主人公たちはずっと檻の中で過ごしている状態だったんです。罪を犯した夏奈だけでなく、娘を失った克と澄子も悩み、苦しみ、どこにも行くことができなかったわけです。精神的な檻の中にいる状態だったんです。愛する人を失うことはどれだけつらいかを、自分なりに掘り下げた作品に仕上げたつもりです。人を赦すとはどういうことなのか、この映画を観て感じてもらえればと思います」

 事件以降、ずっと時間が止まった状態だった夏奈、克、澄子は、最後にどんな決断を下すのだろうか。アンシュル監督と共に苦闘した俳優たちの熱い演技を堪能してほしい。

『赦し』
監督・編集/アンシュル・チョウハン 脚本/ランド・コルター
出演/尚玄、MEGUMI、松浦りょう、藤森慎吾、生津徹、成海花音、清水拓藏、真矢ミキ
配給/彩プロ 3月18日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
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