◆泣けなくなった大人のための癒やしドラマ

北村匠海演じる一星は、生まれつき耳が聴こえなくても底抜けに明るく周りを励まし、支えるキャラクターとして描かれています。彼を観ていたら、耳が聴こえないことを勝手に障がいのように感じていた自分が恥ずかしくなりました。そんな一星が語った第7話のセリフのなかに、このドラマが描く芯の部分を垣間見たように思います。

「目で見て分からないものを抱えて生きている人の方が、俺よりずっと大変だ。元気そうに見えても、みんないろいろ抱えて生きてんだ。別に俺が特別な訳じゃない」。

大人になればなるほど、私たちは自分の感情を曝け出すことが少なくなる。特に日本人はマイナスな感情を封印しがちです。泣かないし、喚かないし、怒りをやたらとぶつけることもしない。でも“みんないろいろ抱えて生きている”のです。そんな“いろいろ抱える人たち”にそっと寄り添い、包み込んでくれるストーリーが、やたらと沁みる作品です。

個人的には、俺様キャラでも、好青年でも、変人系でもない。ちょっと頼りない、心に傷を追った新米医師のディーン・フジオカにも和みました。