◆2. 毎秒“エモさ満点”の映像美

©「美しい彼」製作委員会・MBS
ドラマ『美しい彼』の監督を手がけたのは、ドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(2020/TBS系列)『明日、私は誰かのカノジョ』(2022/TBS系列)などの酒井麻衣。彼女による美しい映像にも定評がある。

まさに“エモさ”を体現しているシーンは数多あるが、『美しい彼』シーズン1の2話、平良と清居が外で水を掛け合うシーンをおすすめしたい。

水の飛沫が陽の光にきらめき、じゃれ合う二人がときにスローモーションでとらえられている。屈託のない笑顔は平良と清居を“ごく普通の友達同士”のように見せていて、実際の見つめ・見つめられる関係性との対比がより浮き彫りになり、淡く切ないシーンに仕上げられている。

『美しい彼』は後半5分に注いでいる熱量にも目をみはるものがあり、同じく2話の終盤、平良の家で花火をするシーンも圧巻だ。原材料「青春」と「夏」を掛け合わせて実現したような美しさに、まさに息をのんで見守ってしまう。続きが気になってすぐに次回を再生してしまう衝動の根源には、この映像美による中毒性があるに違いない。