4.猫の腎不全は治る?治療法は?

残念ながら、一度壊れてしまった腎臓の組織を元に戻すことはできませんが、残された正常な腎臓への負担をできる限り減らすことが、腎不全の治療(進行・悪化を防ぐ)として重要なアプローチになります。

そのためには食事内容を見直したり、尿量を増やすことによって、血液中の老廃物や毒素を排出することが大切です。

治療法1 積極的な水分補給

こまめに水を取り替え、いつでも綺麗な水が飲めるように環境を整えます。 あまり水を飲まない場合は、ごはんに水分を含ませたり、ウェットタイプのフードにしてあげるなどの工夫を心がけましょう。

また、最近では動物用に作られた経口補水液があり、動物病院で処方されることもあります。普通の水よりも効率よく水分を吸収することができるので、スムーズな水分補給にはおすすめ。 ペットショップなどで飼い主さんが購入することもできるので、獣医師に相談したうえで与えてみても良いでしょう。

治療法2 食事内容の見直し

タンパク質やリン、ナトリウムなどは、過剰な摂取によって腎臓に大きな負担がかかるため、これらの摂取量の調整が必要になります。
とはいえ、生きていくうえで必要な栄養素でもあるため、飼い主さんが調整するのはなかなか難しいもの。腎臓病用の特別なフードなども取り入れながら、必ず獣医師と相談のうえ食事内容を見直していきましょう。

治療法3 投薬

食事の中に含まれている尿毒症物質を便と一緒に体の外に排泄する吸着剤や、血圧を下げる薬などを投与しながら、治療を進めるケースもあります。

「AIM」への着目によって、治療にも希望の光が

前述のとおり、猫の腎不全と大きく関わりのある、血液中のタンパク質「AIM」。
すでに治療面での実験も行われていて、腎不全で余命1週間の猫が、AIM投与で劇的に回復したという結果も出たといいます。
現在はまだ治験等が控えている段階ではありますが、猫の腎不全の治療に大きな力となってくれることでしょう。

5.猫の腎不全を予防する方法

【獣医師監修】猫の腎不全を徹底解説 症状や原因・治療法・予防法を紹介
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

腎臓に負担をかけない食事

人間の食事には塩分やタンパク質が多く含まれているため、腎臓に大きな負担がかかります。飼い主さんの食事を与えるようなことはせず、キャットフードで栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

十分な水分補給

腎不全は脱水によって悪化するケースが多いため、水分をしっかりと摂取することが予防につながります。日頃からこまめに水を飲ませる、ウエットタイプのフードを取り入れるなど、十分な水分補給を心がけましょう。

こまめなデンタルチェック

歯肉口内炎による炎症性蛋白が腎不全の原因の一つとされています。
口腔トラブルの早期発見・治療を目指し、自宅でもこまめにデンタルチェックをしましょう。

定期検診

尿検査や血液検査など、定期的に検診を行うことによって、何らかの異常を早期発見できる可能性が高まります。特に症状がなくても、年に一回ほどの定期検診を心がけましょう。

6.まとめ

発症率が非常に高い猫の腎不全。進行すると命の危険にも及ぶ非常に恐ろしい病気です。初期では目に見える症状が少ないからこそ、できる限りの予防に努めたいものですよね。

大切なのは、日頃から腎臓への負担をかけないように心がけること。 健康的な食事や十分な水分補給で、愛猫を腎不全発症のリスクから守りましょう。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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