――リモートでの質疑応答などはなかった?

 考えてはいたんです。でも、去年はミュンヘン五輪の50周年でもあって、ミュンヘン五輪をパレスチナゲリラが襲撃してから50年でもあったわけです。パレスチナゲリラに関わったヤツは、みんな反ユダヤ主義者だというレッテルを貼るキャンペーンがドイツ国内で吹き荒れていたんです。映画祭の評議会メンバーが『REVOLUTION+1』を観て、反ユダヤではないということで上映はできたんですけどね。ドイツでも炎上騒ぎになったんですが、ちゃんと上映され、バラバラとスタンディングオベーションが起きてよかった。ドイツでも、分かる人にはちゃんと分かってもらえたようです。

――足立監督としては、ベルリン映画祭に出席したかったはず。

 旅券をください(笑)。外務省にはこれまで17回申し込んだんですが、すべて断られています。最終判断するのは内閣府。僕の出張中(パレスチナ渡航)は安倍のお父さんが外相で、福田のお父さんが政権に就いていた頃には日本赤軍はハイジャック事件を起こしているからね。それは因果関係がはっきりしてる。この年齢にして、「過去の活動を反省していない。逃亡中の犯人と頻繁に連絡をとっている。したがって、日本国の財産と平和を著しく傷つける可能性がある。以上の理由から、パスポートは発給できない」と当時外相だった岸田のハンコが押された書面を渡されました。僕は日本に幽閉されている状態なんです。海外の映画祭からは他にもオファーが来ているので、主演のタモト清嵐かプロデューサーに代わりに行ってもらおうかなとは考えています。