【今週の一冊】

「単語の9割は覚えるな!同時通訳者が実践する最強の英会話メソッド」(宮本大平著、サンマーク出版、2017年)

20年以上にわたり放送通訳を続けてきた私にとって、英語から日本語に訳す方が断然ラク。何しろニュースの場合、話題の連続性があるので、日ごろから追いかけていれば何となく話題もなじみが出てくるのだ。

ゆえに、会議通訳の仕事が入ると焦ってしまう。会議の場合は英日・日英の両方を担当する。「私は英→日専門です」というわけにはいかないので、双方向で同じレベルのアウトプットが求められる。AIIC(国際会議通訳者協会)のかつての規定では、「通訳者の母語に通訳する」が原則であった。つまり、イギリス人であれば「ドイツ語から英語へ」、オランダ人なら「フランス語からオランダ語へ」という具合。しかし、EUの拡大に伴い、この原則も変化し始め、今では非言語にアウトプットを行うケースが増えている。

一方、日本の通訳者の場合は長年状況が異なっていた。何しろ日本語を完全に理解して英語に訳せる非日本人通訳者が圧倒的に少ない。なので日本人通訳者が英日・日英双方を担当していたのだ。私もその一人ということになる。

日本語と英語は語順が異なり、しかも日本語は「主語」が無くても文章が成り立つ。よって、日英通訳は私にとって非常に難しい。できれば放送通訳だけで仕事をしていきたいと思うが、そうも言っていられないのが昨今の経済事情(何しろ生活せねばならないわけだし)。そこで日英をいかに負担なくして行うかは課題であった。

今回ご紹介する一冊は、そのような悩みを解決してくれる助っ人本。たとえば「乗り物」には自転車、車、バイク、電車など色々ある。これら個々を同通で英訳するのは大変だが、すべてvehicleで統一すれば良い、というのは目からうろこだった。他にも「多い」を表す際、manyやmuchだと可算名詞か不可算名詞かで迷ってしまう。そんな時はa lot ofで切り抜ければOKと出ていた。

特に重宝したのは82ページに出ている「~につきましては」の説明。これはAboutやRegardingを文頭に持ってくるとのこと。ちなみに日英同時通訳では日本語の主語から動詞までの距離があるため、内容を保持するのが大変。よって、主語を聞いたら即座にAboutやRegardingで同通し、落ち着いて残りの文章を通訳するのが負担も少ないと感じた。

もっと早くこの本に出会っていたら、日英も楽になっていたなあとしみじみ思う。


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