お次は文春の「安倍元首相暗殺 5つの核心」。連続追及の第4弾になる。

 これまで3回にわたって、安倍元首相暗殺事件に残された「疑惑」を取り上げてきたが、どうも回を追うごとに尻つぼみで、読んでいてもやもやした感じが抜けなかった。

 今回は識者たちに、これまで提示してきた疑惑についてどう思うか聞いているが、その多くが私と同じ考えを持っているようである。

神奈川大学特任教授で、ジャーナリストの江川紹子(64)はこうコメントしている。

「『週刊文春』の一連の報道は、陰謀論を煽っているのではないでしょうか。安倍元首相の銃撃事件を、今ある断片的な情報や資料で、ああでもないこうでもないと論じるのは、早すぎると思います」

 法医病理学者のキャンディス・ショッペ博士は、こう警告している。

「今回は救命医が会見で説明した内容と、司法解剖の結果が食い違っていることも問題視されているといいます。ただ、銃創を診るのは簡単なことではありません。法医学者は銃弾の入り口や出口を視覚的に識別できるよう特別な訓練を受けていますが、救命医は違う。そのため、救命医がこれらに言及するのは避けるべきです。誤認は頻繁に起こりますし、後から法医学者が全く別の結論に達した時、陰謀論を生み出すことになる。最悪の場合、誤認逮捕に繋がることもあるのです」

 日本政治思想が専門で、放送大学教授の原武史(60)は、近現代の皇室や戦前のテロ事件に詳しいが、文春の一連の特集にこう疑問を投げかける。

「日本政治史において極めて重大な事件なのは間違いない。そうした中、真相究明をしようとする『週刊文春』の志は評価します。警察の説明や捜査の矛盾などを『疑惑』として提示する点も、個別には理解できる。しかし、疑惑のその先に何があるのでしょうか。ここまで3回の連載を読んでも、残念ながら事件全体の真相に迫ることができてないという印象です」

 よほどの「内部告発」でもないと、このまま立ち消えになってしまうかもしれない。文春頑張れ!