こちらも文春が3週連続で追及している「国立病院の看護崩壊」。文春が報じて、患者のデータを読み込むための「前残業」代を払ってくれるかと思っていたが、「払えないから勤務時間を減らせ」といわれただけ。結局、無給の前残業をやらざるを得ないと、東京医療センターの看護師がいっている。

 患者10人に看護師1人というところもあり、患者の放置が日常的になり、入院中の70代の女性の人工呼吸器が外れ、脳に後遺症が残る医療事故も発生しているというのである。

 独立行政法人国立病院機構(NHO)の傘下の病院になぜ、そのような看護師不足が生じるのだろう。

 ある病院の幹部は問題点をこう指摘する。

「看護師の定員は病院側では決められず、機構本部が牛耳っている。でも本部は人件費削減のため、必要最低限の看護師数しか配置を認めない。そもそも最初から少ないので、予定外の退職・休職者が少し出るだけで崩れる。増員を訴えても、『業務内容を見直せ』の一点張り。病院側も声を上げる気力を失っています」

 東京医療センターの看護師も声を震わせてこう話している。

「最低限の看護しかできず、使命感ややりがいはすべて捨てるしかない。『ごめんなさい、ごめんなさい』と思いながら続けている。こんなところ、家族は絶対入院させないよねって、同僚といつも話しています」

 厚労省は実態調査をし、これが事実なら、独立行政法人国立病院機構に対して、すぐに改善命令を出すべきである。