一番稼げるのは営業だ。知名度が上がればテレビに出ていなくともイベントなどの営業にお呼ばれする。ぶっちゃけ営業の時間とギャラを考えるとテレビのギャラに比べて非常に割高な場合が多く、テレビよりも効率よく稼げるのだ。さらにテレビで忙しい芸人は合間を縫って営業をしなければならないが、営業をメインで行っている芸人はかなりの頻度で営業に参加することができるので、ギャラに関して言えばテレビに出まくっている芸人を遥かに凌駕するパターンも少なくない。そういった「隠れ芸人ドリーム」遂行中の芸人は多いのではないだろうか。

 しかし、営業ばかりしているとメディアへの露出が減ってしまい需要がなくなってきてしまう。そうなると営業もなくなるという本末転倒な結果になってしまうので、ある程度定期的にメディアへの露出をしなければならないのだが、そこがピン芸人にとってかなり頭を悩ませるところだ。

 M-1グランプリの場合、漫才ということもあり、ネタの面白さもさることながら、2人の掛け合いの面白さをアピールすることが出来るので、フリートークの場で活かすことができ、ネタ番組以外での活躍も想像出来るのでテレビ局側としても使いやすいのだが、R-1グランプリの場合、ピン芸人たちはネタの面白さのみで勝ち上がるので、先述した「ハリウッドザコシショウ」さんや「ゆりやんレトリイバァ」さんのようにキャラクターがしっかりした上でネタが面白いとか、「じゅんいちダビットソン」さんのように芸人外の部分に需要を見つけない限りメディアへ継続的に出ることは難しい。

 キャラクターが薄く、ネタだけで評価されたピン芸人は、優勝したネタと同じくらいのクオリティのネタをネタ番組や大会で断続的に発表しなければならない。だがそんなことは不可能に近い。優勝したネタを作るまでにかなりの努力と月日がかかっているのに、一部存在する天才でもない限りそれと同じレベルのネタなんてポンポン作れるものではない。ということはネタで評価されたピン芸人が継続的にメディアへ露出していくにはキャラクターを強化、または変化させるしかないのだ。