――ある意味一番R&B色が強かった頃ですね。

 そうですね、(シングルで)あそこから4~5枚くらいまではR&B色強かったので、そのへんが一番僕の好きな時というか、一番密に聞いた時ではありますね。

――その後、若干音楽性が変わっていって、R&Bから離れていくじゃないですか。自分はちょっとそれに戸惑ったんですけど、工藤さんはどうでした?

 正直、いちリスナーとしてはめちゃくちゃ戸惑いはありました。でもその変化にも理由があるというか、自分で打ち込みを始めてから変わるじゃないですか。それはそれで、宇多田さんの編曲のクセというか、好きな音色の好みがわかってすごいいいなって思った反面、『Distance』あたりの時の、いわゆる有名なUSのR&Bの編曲家とかが作ってる時のトラックも好きだったので、「もうこっち系やってくれないのかな」とか思った自分はいましたね。

――じゃあアルバムで挙げるとすると、やはり初期のあたりになります?

 『Distance』ですね。『DEEP RIVER』あたりから自分の手で完成させていくものが増えてきて、R&Bっていう括りではなくなってきたし、その時点でもう「宇多田ヒカル」っていうジャンルになってきた気がしてて。もちろんそれもかっこよくて好きだったんですけど。自分は入りとしてはR&Bからだったんで、『Distance』ですね。