ただ、オストルンド作品が立て続けに大絶賛を浴びている状況(前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』もパルムドールを受賞)をこうして目の当たりにすると、松本がカンヌのレッドカーペットを歩いている世界線を、どうしても想像してしまう。
もちろんテレビコントと劇映画は違う。必要な構成力も創造力も違う。監督以外に必要な人材、資金、マネジメント力、すべて段違いに違う。しかし、そういうことを差し引いても、無責任な一観客として、かつて『ごっつええ感じ』に心酔した者として、「そうなっていたかもしれない可能性」を、どうしても夢想してしまう。
まったくもってピンとこない、という方もおられよう。オストルンド作品をお笑いに関連付けるなんてとお怒りの方もおられよう。
だが、かつて間違いなく『ごっつええ感じ』のコントは、松本人志を中心に作られていたコントは、「人間」を描いていた。オストルンド作品を観てそれを思い出したことは、忘れずに書き留めておきたかった。それだけは何卒、ご理解いただきたいと思う。
『逆転のトライアングル』
2月23日(木・祝) TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
配給:ギャガ
監督:リューベン・オストルンド
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン
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