老齢厚生年金の構成

特別支給の老齢厚生年金は定額部分、報酬比例部分、加給年金額の3つから成る。定額部分は老齢基礎年金に、報酬比例部分は本来の老齢厚生年金に相当する役割をもつ。65歳から受け取るはずの老齢基礎年金と老齢厚生年金が65歳未満の方を対象に支給される場合はそれぞれ定額部分、報酬比例部分という形で支給されるのである。

本来の老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算、加給年金額から成り立つ。特別支給の老齢厚生年金であった定額部分は、65歳から支給される老齢基礎年金に切り換わり、報酬比例部分はそのまま引き継がれる。加給年金額は、要件を満たしているならば65歳以降も同様に支給される。

加給年金とは主に一定年齢に到達した厚生年金保険の加入期間20年以上の人に、一定の要件を満たす配偶者または子がいる時支給される年金だ。

経過的加算は特別支給の老齢厚生年金における定額部分と老齢基礎年金の差額を埋めるものである。定額部分のほうが老齢基礎年金よりも金額が大きくなると見込まれるしばらくの間、60歳からの年金額を65歳以降も保障するため設けられている。

老齢厚生年金の計算

特別支給の老齢厚生年金の額は定額部分、報酬比例部分、加給年金額の合計、本来の老齢厚生年金の額は報酬比例部分と経過的加算、加給年金額の合計となる。特別支給の老齢厚生年金と本来の老齢厚生年金に共通する報酬比例部分と加給年金額の計算方法はどちらにおいても変わらない。

定額部分は定額の単価に生年月日に応じた率と被保険者であった期間の月数を掛けて算出する。2017年度の単価は1,625円だ。

報酬比例部分は、基本的に標準となる報酬額に生年月日に応じた率と被保険者であった期間を掛けて算出する。ただ標準となる報酬額は2003年3月までと同年4月以降で異なり、前者は平均標準報酬月額、後者は平均標準報酬額と呼んで区別する。これは標準的な報酬額の計算方法が2003年の4月を境に変更されたためである。

変更前は毎月の給与から導く標準報酬月額のみを計算に用いていたが、変更後は加えて賞与の分、標準賞与額も計算に組み入れることになった。その影響で、報酬比例部分の計算に際しては、2003年3月までの分と同年4月以降の分をそれぞれ計算した後に足し合わせることになったのである。

定額部分と報酬比例部分で用いる乗率は概ね1,000分の5から10の間で定められており、変更の前後で用いる率は異なる。

加給年金額は配偶者、また子どもの数、年齢によって変わる。65歳未満の配偶者、第1子、第2子がいるなら2017年度4月以降の基準だと各22万4,300円、第3子以降は7万4,800円が加算される。

加給年金の計算に含まれる子どもの定義は18歳到達年度の末日、3月31日を迎えていない状態の子、また20歳未満で1級、2級の障害の状態にある子となっている。状況によって加給年金はさらに加算される場合もある。

経過的加算は、定額部分から厚生年金保険の加入期間のうち、1961年4月以降かつ被保険者が20歳以上60歳未満の頃に限定した期間の老齢基礎年金相当額を差し引いた金額になる。