――長らく宇多田のウォッチャーをされてきて、心境の変化を感じるところはありますか?

ミラクル:新曲を出すたびに勘ぐりますよね。そもそも楽曲の雰囲気がアルバムで、大きく変わるじゃないですか? でもね、いつの時代も宇多田さんはカッコつけるのが嫌いなんだなって感じます。どのアーティストも素直に曲を書いてるつもりが、どこかカッコつけちゃう自分っていると思うんですよ。でも宇多田さんの場合は「これは何回書き直したんだろう?」みたいな。削って削って自分の心を裸にする作業をしたんだろうな、と曲を聴くたびに思いますね。

――それを踏まえて、最新アルバム『BADモード』(2022年)はいかがですか?

ミラクル:いい意味でポップですよね。「Automatic」からの理想的な成長を感じるし、神妙さがちょっと薄くて聴きやすかった。「Be My Last」(2005年)の<母さんどうして>あたりから「どうした!?」みたいに思っていたんですけど、『BADモード』で「よかった! なんかホッとした気持ちになった!」っていう(笑)。