南米アルゼンチンに、妊娠したロシア人女性が続々と入国している。アルゼンチンで出産すれば生まれた子供にはアルゼンチン国籍が与えられ、両親も永住権、国籍の入手が容易になるためだ。「住みにくいロシア」から脱出するロシア人の逃避先になっているが、背後にロシアの犯罪組織がいるとして、アルゼンチン当局が取り締まりに乗り出した。

 2月9日午後8時前、ブエノスアイレスの空の玄関エセイサ国際空港に、エチオピア航空506便が定刻を少し遅れて到着した。エチオピア・アジスアベバを飛び立ち、経由地のブラジル・サンパウロでの駐機時間を含め約16時間の旅だった。ビジネスクラス24席、エコノミークラス246席のボーイング787-800型機の中は、独特な雰囲気だった。妊娠32~34週目で、いつ出産のタイミングがきてもおかしくない33人のロシア人女性が搭乗していたのだ。

 33人はいずれも観光目的でアルゼンチンに入国しようとしたが、アルゼンチンの入国管理局はこのうちの3人の身柄を拘束した。3人は出産のために訪れたことを認めたため、「入国の目的に偽りがある」と判断された。入国管理局はこの前日にも、同様の理由で妊娠したロシア人女性3人を拘束していた。