時を同じくして、アルゼンチン連邦警察は9日以降、入国したロシア人が滞在するホテルや宿泊施設などを家宅捜索した。ロシア人の動向を確認するためだが、面会などをした約30人のロシア人のうち、入国時に届け出た宿泊場所にいたのは8人に留まったという。
アルゼンチン当局によると、昨年、観光目的でアルゼンチンに入国したロシア人は2万1757人だった。このうち妊娠した女性は1万500人にのぼったが、そのうちの5819人は10~12月に入国していた。アルゼンチン当局の取り締まりは、ここ数カ月で急増するロシア人妊婦の背後にある犯罪組織を摘発するためだ。
アルゼンチンは米国同様、国籍については「出生地主義」だ。アルゼンチンで生まれれば、その子にアルゼンチン国籍が与えられる。同時に両親もアルゼンチンの永住権や国籍を得やすくなる。このため、アルゼンチンで出産を希望するロシア人女性は以前から少なからずいた。ロシアによるウクライナ侵攻で、その需要は急増した。
国際社会によるロシアへの制裁で、ロシア人がビザなしで渡航できる国は87カ国となっている。アルゼンチンのパスポートならビザなしで渡航できるのは171カ国ある。プーチン大統領の「独裁体制」に苦しめられ、「ロシアは住みにくい」と考えて国脱出を希望するロシア人にとってみれば、喉から手がでるほど欲しいパスポートだ。
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